翻訳を仕事にする(その5) – トライアルに落ちまくったときの対処法・前編

この記事と次回の記事で、翻訳トライアルに落ちまくったときの対処法を解説します。長くなったので前編・後編に分けてお送りします。

特に次回(その6)は、若干、裏技的な内容をご紹介します。
クレームが入ったら消す可能性もありますので、見られるうちにご覧ください。

さて、僕自身、トライアルに落ちまくって、なかなか採用に至らなかった時期がありました。

しかし、ちょっとしたコツがあることに気づいてから、その後、トライアルにほとんど落ちなくなりました。

コツは2つあります。

①急募を狙え!
②足切りを突破しろ!
の2つです。

本記事(その5)では、1つ目のコツ「急募を狙え!」について解説していきます。

目次

  • 単なる実力不足で落ちている場合もある
  • 絶対に買っておいた方がいい本(ただし絶版)
  • 学校で教わる内容が網羅されている
  • 本書の使い方 – 実力不足の人の場合
  • 本書の使い方 – 実力があるのに合格できない人の場合
  • 翻訳トライアルには2種類ある
  • アメリアの看板を利用しよう
  • 急募を狙え!

単なる実力不足で落ちている場合もある

僕自身、翻訳トライアルを受け始めて最初のころは、のきなみ落とされていました。しかし、当時でも、アメリアの定例トライアルでは、問題なくAを取れていたんです。しかし、いざ本番トライアルとなると落とされてしまうんですよ。

今思えば、トライアルの上手な受け方を理解していなかったのが原因だと思います。力の出し方を誤っていたんですよね。

今回(その5)と次回(その6)では、そういう人向けの対処法を解説していきます。

ただし、その前に注意しておいていただきたい点があります。

単なる実力不足で落ちている場合もある、ということです。

あなたの実力が、翻訳トライアルで合格できる水準に達しているかどうかの判別方法は、本記事シリーズ「翻訳を仕事にする」の(その3)で解説しました。ざっくり言えば、アメリアの定例トライアルでB評価以上が常時取れていれば大体OKです。

定例トライアルでC評価から上がれないという人は、たとえ本記事と次回記事でトライアルのコツを覚えたとしても、合格できません。それよりも、まずは実力アップを優先してください。

というわけで、本論に入る前に、基礎固めに最適な参考書を1冊ご紹介します。

絶対に買っておいた方がいい本(ただし絶版)

本記事シリーズ「翻訳を仕事にする」 (その4)では「トライアル現場主義!」を強力に推しましたが、実はもう一冊強力に推したい本があります。

それが、佐藤洋一著『コンピュータ翻訳入門』です。


コンピュータ翻訳入門 アルク翻訳レッスン・シリーズ [実務翻訳]

ただし、この本には大きな欠点があります。絶版なのです。。。

2002年に出版されたものですので、取り上げている技術自体が若干古くなっています。技術系の参考書の宿命とも言えることですが、内容自体が優れていても、取り上げている技術が古くなってしまうことは避けられません。

具体的には、MS-DOS、フロッピーディスクなどが取り上げられています(なつかしい・・・)。

もし本書を書き直すとすれば、課題文をWindows10やスマートフォンに置き換えなければならないでしょう。そうすると模範訳も解説も全面改定するしかないわけで、結局、書下ろしと変わらなくなると思われます。

今回の執筆に当たって、ひょっとして佐藤氏の新刊本が出ていないかな?と思って検索してみたのですが、残念ながら見当たりませんでした。

僕自身、古本を買いました。今でもアマゾンのマーケットプレイスで安く入手できるようですので、それを買ってもらえばいいと思います。

学校で教わる内容が網羅されている

たとえ技術は古くなっても、本書で触れられている内容自体は、実務系、とくにIT系の翻訳においては決して古くなっていません。絶対に押さえておかなければならない基礎中の基礎が網羅されています。

実務翻訳で食っていくつもりの人なら、絶対に買っておいた方がいい本だと僕は思います。

具体的に言うと、翻訳学校や通信講座の初級クラスから中級クラスで教えられている内容がほぼ網羅されており、簡潔にまとめられています。
さらに、巻末には翻訳トライアルの採点ポイントをまとめたリストまで付いています。

マーケットプレイスでも、新品は9,000円くらいに値上がりしていますので、古書を狙いましょう。

今調べたところでは、179円~466円で6冊売りに出ています。早い者勝ちです。その上の出品価格帯は、定価より高くなっています。

絶対に、絶対に買っておいた方がいいです。

この記事を読んで、179円で買えた人は、むちゃくちゃ運がいいと思います。読了後に、幸運を実感するでしょう。

現時点で実力が足りていない人だけでなく、実力があるのに、ちょっとしたコツがつかめていない人にもぜひやってほしい本です。というか、やらないとまずいです(特に巻末の採点ポイントは必見)。

本書の使い方 – 実力不足の人の場合

まず、実力が足りていない人の場合は、

Chapter 1の「Lesson 1~10」の10項目をすべてチェックしてください。

具体的には、

  • 主語の選択
  • 態と品詞の転換
  • 頭から訳す
  • 真意を汲み取る
  • 冠詞の訳し分け
  • 前置詞の訳し分け
  • 助動詞の訳し方
  • 基本動詞の訳し分け
  • 一般用語と専門用語の見分け方
  • 慣用表現への対応法

の10項目です。全部基本中の基本です。

以上を10項目を完全に頭に叩き込みましょう。身に付くまで何度でもやってください。

その上でChapter 2に進んでください。翻訳講座の中級レベルの内容が簡潔にまとめられています。

上記の10項目中もし1項目でも怪しい箇所があれば翻訳を仕事にしていくのは難しいと思いますが、逆に言うと、自分に何が足りないのかさえわかれば、すぐに修正できます。

本書の使い方 – 実力があるのに合格できない人の場合

一方、アメリアの定例トライアルでA評価やB評価をコンスタントにとれているにもかかわらず、なかなか翻訳トライアルに合格できない人の場合は、まず、Chapter 1と2を一通りこなしてみて、おろそかになっている項目がないかどうかを、チェックしましょう。

その上で、Chapter 3「トライアルに挑戦」を自分で解いてみてください。その上で、著者が作成しているトライアルの採点ポイントに従って、自分の答案を採点してみましょう。

佐藤氏も、前回の近藤氏と同様、長年トライアルの採点に携わってきた方ですので、具体的な採点ノウハウを持っています。それを学ぶことで、合格にぐっと近づけます。

実際、僕がトライアルに落ちなくなったのも、かなりの部分はこのChapter 3のおかげです。

さて、前置きが長くなりました。それでは本題です。

翻訳トライアルには2種類ある

前回の紹介した近藤哲史氏の「トライアル現場主義!」には、「トライアルの心理学」と題したエッセイが掲載されており、そこでは翻訳トライアルが3つに分類されています。すなわち・・・

「受けてください」トライアル
「受けてみませんか」トライアル
「受けられますよ」トライアル

の3つです。

ただし、これは会社側の視点なので、フリーランス翻訳者としては、3つではなく2つに分類した方がわかりやすいのではないかと思います。

つまり「受けてください」と「受けられますよ」の2つですね。

言い換えると、急募のトライアルと、常時募集のトライアルです。

当然ですが、後者よりも前者の方が、圧倒的に攻略が簡単です。

常時募集のトライアルは、特に人員が不足しているわけではないのだけれど、いい人がいれば取ろう、というスタンスのトライアルです。

したがって、ハードルは高くなります。

逆に前者は、新しいプロジェクトが始まりそうなのに人員が足りない、といった場合のトライアルです。

まず大前提として、誰かを雇わないとマズイ状況ですので、ある程度の水準さえクリアーできれば、細かな点には目をつぶって雇ってもらえる可能性が大きいのです。

アメリアの看板を利用しよう

ところで、今、ためしに翻訳会社の採用情報欄を何社かざっとチェックしてみたのですが、全部、後者の雰囲気でしたね。「常時募集しております」的な書かれ方でした。

ところがですね・・・

翻訳ネットワークアメリアの求人情報検索で、「実務」、「フリーランス」、「翻訳」にチェックを入れて検索をかけたところ、253件ヒットしました。

で、そのうちの上から5件までの求人詳細を表示してみたところ、うち2件が冒頭に「急募!」と記されていました。

これらをまず狙うんです。

ついでに言っておきますと、「急募!」2件のうち1件は、先ほどHPをチェックした翻訳会社でした。

しかし、その会社の公式サイトには、僕の確認した限りでは急募の案件は見当たりません。

お金を払ってもアメリアに加入しておいた方がいい一番の理由は、実はこれなんです。

定例トライアルが優れたシステムだからでもなく、近藤氏の「現場主義!」のような優れたコンテンツがたっぷりあるからでもありません。アメリアに入ることでこういう求人にアクセスできるからです。

それは、言い換えれば、アメリアの人材は優秀だと見なされているということを意味しています。信用があるんですよ。

企業の公式ホームページでやみくもに求人を出すより、確実にいい人材がすばやく確保できると思われているんです。

そのために、企業はお金を払って、アメリアで求人を出しているわけです。

この信用は、先輩会員の皆さんが(僕も含めてw)実績を積み上げてきた結果です。

ですから、本気で翻訳の仕事に就きたいと思っているなら、まずはアメリア の看板を利用してください。

急募を狙え!

僕が初めてトライアルを突破した際も同じでした。急募で、しかも、まとまった人員の募集があった案件に受かったのが最初の最初です。

まずは、こういう案件を狙いましょう。

常時募集系は、慣れていないとかなりキツイと思います。うわさでは100人に1人程度しか受からないとも聞きます。

まずは「急募」で業界に潜り込みましょう。最初の突破がすべてです。初日(しょにち)を出しましょう!ゼロを1に変えましょう。あとはひたすら経験を積んでいくだけです。

担当者と実際にやり取りをするようになれば、どういう人材やスキルが求められているかも実感できるようになります。それに対応しながら実力を伸ばしていけば、やがて、常時募集レベルの求人にも対応できるようになります。

僕も、最初は常時募集と急募の違いが判らなかったので、常時募集に応募しては落とされていました。

皆さんも、本気で翻訳を仕事にしたいなら、アメリア の信用と名前を利用して、まずは急募で業界に潜り込んでください!

今回は以上です。

次回(その6)では、トライアルの「足切り」を突破するための裏技をご紹介します。

裏技ですから、ずーっと公開し続けられるかどうかはわかりません。読めるうちに読んでおいてください。

それでは、本記事の内容について、ご質問やコメントなどありましたら、ぜひ下のコメント欄からお問い合わせください。できる範囲でお答えさせていただきます!