フリーランスのための瀧本哲史 – 『僕は君たちに武器を配りたい』をまとめました

僕は君たちに武器を配りたい

8月に瀧本哲史氏が亡くなられました。それまで彼の著作は 書店のベストセラーコーナーでぱらぱらとめくった程度で、読んだことはありませんでしたが、急に気になり始めたので今回、表題の本を初めて読んでみました。

本記事では、同書の内容をフリーランスに必要な部分に絞ってまとめています。

なんだかんだで6回は通読したので、内容は大筋つかめていると自負しています。
フリーランスの在宅ワーカーであれば、本書を手に取らなくても大事な点をすべて把握できるような記事を目指しました。

目次

  • 本書の概要
  • 2019年のアップデート
  • アップデート①:世界の右傾化と保護貿易
  • アップデート②: 情報資産(コンテンツ)と個人の影響力の拡大
  • アップデート③:AIの台頭
  • 本書のキーワード一覧
  • コモディティ化とは
  • スペシャリティ とは
  • 資本主義市場における6つのタイプ
  • ①トレーダー
  • ②エキスパート
  • ③マーケター
  • ④イノベーター
  • ⑤リーダー
  • ⑥投資家
  • 英語とリベラルアーツの重要性
  • まとめ

本書の概要

さて、いきなりですが本書の内容をざっくりまとめるととこうなります。

・時代が大きな転換点を迎えている
・生き残るためにゲリラ戦を展開せよ

そして、ゲリラ戦の要諦が具体的に記されていくわけですが、内容を把握するためのキーワードは以下の通りです。

コモディティ化
スペシャリティ
(資本主義経済で主体的に動く6つのタイプとしての)
トレーダー
エキスパート
マーケター
イノベーター
リーダー
投資家

本記事では、これらのキーワードを中心にして、『 僕は君たちに武器を配りたい 』の内容をフリーランスに必要な点に絞ってまとめます。

2019年のアップデート

本書が出版されたのは2011年。それから8年が経過し、社会状況も若干変化しています。その点をアップデートしてから、まとめに入ります。

本書が世に出て以降に顕著となった社会のトレンドをざっと挙げると以下の通りです。

①世界の右傾化と保護貿易主義
②情報資産(コンテンツ)と個人の影響力の拡大
③AIの台頭

これらの点は本書では触れられていませんので、本書とのすり合わせを行っておきます。

アップデート①:世界の右傾化と保護貿易

瀧本氏の言う「時代の大きな転換」とは、インターネットを中心とした社会と経済のグローバル化のことを指しますので、①はこの流れに抵抗する力と言えます。

ですが、僕の意見としては、この流れは一時的なモノだと思います。いずれグローバル化へと再度舵を切るでしょう。

なぜかと言うと、エントロピーは増大へと向かうからです。保護主義というのは、例えていうならクーラーボックスの中にアイスクリームいれておくようなことなので、2~3時間なら持つかもしれませんが、1日置いておけばアイスは必ず溶けます。

クーラーボックスがぶ厚ければ溶けるまでの時間は長引くでしょうが、永遠ということはありえません。必ず混じり合い、溶けあう日が来ます。このことは、人類史上のあらゆる反動勢力にあてはまりますので、今回だけ例外ということはないはずです。

本書で繰り返される主張の一つは「長期的な視野で考えよう」ということですので、①の保護貿易主義については、長期的には考慮に入れなくていいというのが僕の考えです。

アップデート②: 情報資産(コンテンツ)と個人の影響力の拡大

これについては瀧本氏の考え方に対してアップデートが必要だと思います。

すでに記したように本書の重要なキーワードは「ゲリラ戦」です。ゲリラ戦とは正規軍とは逆の戦い方であり、少人数で臨機応変に立ち回れということです。自分の頭で考えて素早く動け。個人で戦えということですね。

(ちなみに正規軍の戦い方のわかりやすい例として、高度成長期の日本企業が挙げられています。思考停止してひたすら頑張るというこのやり方ではこれからは生き残れませんよ、と瀧本氏は言っています。)

現在、ゲリラ戦を戦う人が真っ先に考えるのはコンテンツビジネスだと思います。

しかし著者がこの本を執筆した2011年の段階では、まだブログもSNSもYouTubeも今ほどは興隆していませんでした(と記憶しています)。ですから、本書の執筆段階で、滝本氏はゲリラ戦として、個人のコンテンツビジネスを想定していません(その後の著作については未確認)。

瀧本氏が本書で想定しているゲリラ戦の理想形は、起業です。「技術的イノベーションに軸足を置いた起業とそれへのエンジェル投資」が瀧本流のゲリラ戦の要諦です。

明記されているわけではありませんが、全体から受ける印象としてはおそらく間違いないでしょう。

もちろん、本書に示されている議論の多くは本質を突いたものですので、個人のコンテンツビジネスにも、組織での働き方にも応用が利きます。

ただし、あくまで瀧本氏自身が想定していたゲリラ戦の理想形は、「技術に軸足を置いた起業」であるという点を念頭において読み進めた方がよさそうです。

アップデート③:AIの台頭

2014年以降、AI(人工知能)が急速に発達していますが、これは、本書の最重要概念である「コモディティ化」(後で解説します)に関係します。

AIの台頭はこれまでコモディティ化が想定されていなかった職種も含め、さまざまな職業のコモディティ化をさらに加速させていくでしょう。

かつては人間にしか作り出すことのできなかったコンテンツの世界ですらコモディティ化の流れが生じる可能性があります。

少なくとも翻訳業界ではかなり現実味を帯びており、この点についてはすでに他の記事「在宅ワーカーの稼ぎ方(応用編) – AIにどう対処すればいい?」で詳しく解説しています。

資本主義が発展すればするほど、商品の価値は下落していき品質は向上する、と述べた。コモディティ化はその必然の結果である。あらゆる産業もまた、発展していった先に必ずコモディティ化し、陳腐化していく。(第2章)

AIの台頭は、“あらゆる産業もまた、発展していった先に必ずコモディティ化し、陳腐化していく”という 瀧本氏の 考えを裏付け、具体化しつつある現象だと言えます。ですから特段のアップデートは必要ありません。

さて以上、若干長くなりましたが、2019年現在に本書の内容に踏み込む前にアップデートが必要な点を一通り解説しておきました。

①保護主義の台頭
②情報資産の拡大
③AIの進化
の3点が本書執筆当時の状況とは異なっていますがし①は”一時的”な現象”で、③は本質的には瀧本氏の考え方を具体化する現象だと言うのが僕の見方です。

ただし②については、ある程度の読み替えが必要だと思います。本記事では、瀧本氏の想定していた「技術に基づくベンチャーの立ち上げ」というゲリラ戦を「ネットを主戦場としたフリーランスビジネス」へと読み替えながらまとめていきます。

本書のキーワード一覧

それでは内容の紹介に移ります。

冒頭で紹介した本書のキーワードを再掲載します。

・ゲリラ戦
・コモディティ化
・スペシャリティ
(以下資本主義市場で主体的に稼ぐ6つのタイプとしての)
・トレーダー
・エキスパート
・マーケター
・イノベーター
・リーダー
・投資家

”コモディティ化”と”スペシャリティ”という2つの概念を使って、上記6つのポジションを分析するのが本書の骨格です。

そして、6タイプのうち、トレーダーとエキスパートは今後次第にコモディティ化していき(買い叩かれ)生き残ることはできないこと、
それ以外の4つ(マーケター、イノベーター、リーダー、投資家)が生き残っていくことが示されています。

両者を分けるのは、スペシャリティ(付加価値)の有無です。

ですから、これからの時代を生き延びるためには、4つのポジションの考え方を吸収し、スペシャリティを身につける必要がある
というのが本書全体の主張です。

それでは、まずコモディティ化とスペシャリティという重要概念について説明します。

コモディティ化とは

コモディティとは英語で席捲や歯ブラシなどの日用品を指す時に使われる言葉だが、経済学や投資の世界ではちょっと違う意味で使われる。
市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどの商品を買っても大差がない状態。それを「コモディティ化」と呼ぶ。
経済学の定義によれば、コモディティとは「スペックが明確に定義できるもの」のことを指す。材質、重さ、大きさ、数量など、数値や言葉ではっきりと定義できるものはすべてコモディティだ。(第1章)

コモディティ化とは、陳腐化するということです。

そして、コモディティ化した商品や労働力は価格以外に差異が見いだせないため、徹底的に買いたたかれます。

後で説明しますが、先ほど挙げたトレーダーやエキスパートというポジションも、この先コモディティ化し、どんどん買いたたかれるようになると瀧本氏は予測しています。

ちなみに代表的なトレーダーとして本書で挙げられているのは総合商社や百貨店です。

代表的なエキスパートとして挙げられているのは自動車メーカーや医師、弁護士などです。

医師や弁護士以外にも、専門技術職の多くはここに入るでしょう。 また、翻訳家を含めて、フリーランスで働いている人の多くもエキスパート(専門家)に分類されると思います。

つまり、フリーランスで働いている人は、自分の頭で考えて付加価値を付けていかなければこの先危ないとされています。

スペシャリティ とは

瀧本氏の言うスペシャリティとはコモディティ化しない独自性を帯びた価値のことです。

スペシャリティとは、専門性、特殊性、特色などを意味する英単語だが、要するに「ほかの人には代えられない、唯一の人物(とその仕事)」「ほかの物では代替することのできない、唯一の物」のことである。概念としてのコモディティの正反対といえる。(第一章)

先ほど自動車メーカーをエキスパートの代表として挙げましたが、メーカーの中にも、スペシャリティなメーカーはあります。

たとえば、ダイハツミラとスズキアルトは、ほぼ同性能でかなりコモディティ化しています。
もしミラがアルトの半額で売り出されたらアルトを買う人はいなくなるでしょう。

スズキが対抗してアルトを値下げした場合には値下げ競争が始まります。
これがコモディティの特徴です。

一方、フェラーリには、フェラーリ独自のスペシャリティが確立されていますので、今のところコモディティ化する心配はありません。

ただしで、スペシャリティは決して永遠不変のものではないという点を理解しておくことが必要です。 今後、自動運転やカーシェアリングが普及してくれば、 フェラーリですら絶対に安泰だとは言えません。

これは企業だけでなく働く個人にもあてはまります。

どんなに素晴らしい企業も、未来永劫その価値を維持し続けることはできない。現代において、働く個人が常に経済的、社会的に高いポジションを維持するためには、次にどのビジネスモデルが成功するか潮流を見極めながら、転職を繰り返すことが必然の行動である(第3章)

ある時期にスペシャリティであったとしても、時間の経過に伴い必ずその価値は減じていき、コモディティへと転落していく。スペシャリティになるために必要なのは、これまでの枠組みの中で努力するのではなく、まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、どんな要素がコモディティとスペシャリティを分けるのか、それを熟知することだ(第一章)

つまり、付加価値の付け方についての学びに終わりとはなく、時代や社会の変化に合わせてたえずアンテナを張り、アップデートを繰り返さなければならない、というのが本書から教えられる本質的な学びだと思います。

以上で、コモディティ化とスペシャリティについての解説を終わります。

第4~8章では、この2つの概念を援用して「資本主義市場で主体的に稼いでいる6つのタイプ」が順に取り上げらます。これが本書の核となる部分です。

資本主義市場における6つのタイプ

それでは、次に「資本主義市場における6つのタイプ」の特徴を解説していきます。

6タイプのリストを再掲載します。

①商品を遠くに運んで売ることができる人(トレーダー)
②自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
③商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
④まったく新しい仕組みをイノベーションできる人(イノベーター)
⑤自分が起業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人(リーダー)
⑥投資家として市場に参加している人(インベスター=投資家)

繰り返しになりますが、これからの時代は①と②の2つのタイプが廃れて残りの4つが生き残ると予測している点が本書の眼目です。

そして①と②が廃れるのはコモディティ化するからであり、③~⑥が生き残るのはスペシャリティすなわち特殊な付加価値を生み出す力があるからだとされています。

つまり、トレーダーやエキスパートを脱してスペシャリティを獲得せよ

というのが本書の言いたいことのほぼすべてです。

では各タイプを一つずつ概観していきます。

①トレーダー

①トレーダーは、モノや情報を移動させることで価値を生み出す人(組織)のことです。

組織なら百貨店や商社。個人なら輸入業者などが該当するでしょう。

(*ところで、個人と組織を厳密に分けて考えない点が、本書全体の特徴と言えます。本書で語られるあらゆる戦略は組織にも当てはまるし、個人にも適用可能です。)

(また僕の解釈にすぎませんが、企業の一般事務職も、おそらくこのトレーダーの一種ではないかと思います。自宅から1時間~2時間かけて、会社まで自分の労働力を移動させることで対価を得ているからです。)

以上をまとめると、モノや情報を移動させることで価値を提供するのがトレーダーというポジションです。

単なるトレーダーはコモディティ化を避けられず、今後は生き残ることができません。

トレーダーがコモディティ化する原因として瀧本氏が挙げているのは、グローバル化とインターネットの普及によって時間と空間の移動コストがどんどん下がっていくことです。

企業においても「トレーダー」的な業種、つまり商品を「右から左へ」と渡すことで稼いでいた企業はどんどん経営が苦しくなっている。商社をはじめ、広告代理店や旅行代理店など、いわゆる「代理」業務を行ってきた会社は、インターネットの普及によってビジネスモデル自体に構造の転換が迫られている(第4章)

②エキスパート

②エキスパートは専門知識や技術を通じて価値を提供する人(組織)を指します。

企業なら製造業。またはそこに勤める技術職のスタッフが該当するでしょうし、職人や技術を売りにしている多数のフリーランスもここに含まれます。代表は弁護士や医師ですが、翻訳業やその他のライターなども含まれるでしょう。

すでに指摘したように、単なるエキスパートもコモディティ化を避けられず、今後は生き残ることができません。

②エキスパートが生き残れない理由として滝本氏が挙げているのは、技術がどんどん進歩し、その変革のサイクルがどんどん速くなってくることです。

ある時期に特定の専門知識を身につけても、その先にあるニーズが社会変化に伴い消えると、知識の必要性自体が一気に消滅してしまうのである。

いくら腕のいい写植工でも、写植自体が廃れてしまえば需要は消滅します。写真の現像技術は、デジタルカメラが普及すれば不要になります。経理としてどれだけ正確な計算能力を持っていてもコンピュータが登場すれば仕事を奪われます。

電気自動車が普及すれば、自動車メーカーが蓄積してきた内燃エンジンに関するノウハウは不要になります。

また、本記事の冒頭でも触れましたが、AIが普及すれば、翻訳家は当然として、弁護士や医師の仕事も、かなりの部分が淘汰されるだろうという予測もあります。

こうしたエキスパートは、性能や品質以外の付加価値を身につけなければコモディティ化していきます。

(さきほども触れましたがAIによる翻訳家のコモディティ化の現状については「在宅ワーカーの稼ぎ方(応用編) – AIにどう対処すればいい?」という記事でレポートしました。)

では次にスペシャリティとして生き残る、残りの4タイプについて紹介します。これらの中でフリーランスにとって当面重要なのは③マーケターと⑥投資家ですのでこれらに的を絞って解説します。

③マーケター

マーケターは「顧客の需要を満たす人」です。

ここで言うマーケターは、

「マーケターとは、「差異」=「ストーリー」を生み出し、あるいは発見して、もっとも適切な市場を選んで商品を売る戦略を考えられる人間

と定義されていますので、 マーケターという具体的な職種にとどまらず、 マーケティング的な視点を生かして差異を見出し、市場を選んで売る戦略を生み出すことのできる人は全員該当すると言っていいでしょう。

これからの時代は、”個人の働き方においても、マーケティング的視点で工夫をすることが「稼げる人」と「稼げない人」を分けるポイント”となります。

資格を持っていることやTOEICの点数が高いといった、「高品質で高性能」といったものを売りにする人は、もはや、通用しない。自動車部品と同じように、いまやコモディティ化していると述べた。しかしマーケティング的は発想をすることで、自分の「適切な売り方」を変えることができるのである。

現在では、個人の働き方においても自分の「ビジネスモデル」を環境の変化に合わせて変えていくことが求められるのである。そのときに必要なのが「マーケター」の考え方なのだ。
自分が得たスキルや知識を、どの市場でどのように売るかによって、得られる報酬は全く違ってくる。それはすなわち、「個人のビジネスモデル」を変えれば活路は拓ける、ということだ

マーケターの発想は、在宅ワーカーが自分のスキルを市場に売り込むにあたって最重要のスキルだと思います。

とはいえ、本書を読めばマーケティングがうまくなるということにはなりません。さまざまな事例が示されていますが、実践的なノウハウが示されているとは言えないからです。

本書で大枠での考え方や基本戦略のようなものを読み取ったのち、具体的なノウハウについては、他の方法で実践を積む必要があるでしょう。

④イノベーター

第6章では生き残る2番目のタイプとしてイノベーターが取り上げられています。しかし、フリーランスの立ち場からすればイノベーターとマーケターを区別することにあまり意味はありませんのでこの章は飛ばします。

敢えて言うなら、売り方に特化しているのがマーケターで、ビジネスモデル全体の仕組み化を構想するのがイノベーターと言えるでしょう。規模の違いともいえます。

⑤リーダー

第7章は⑤リーダーの章ですが、ここで展開されるリーダー論もフリーランスにとってはさしあたり不要です。

組織のリーダーとは、部下のマネジメントによって付加価値を生み出す人たちですが、フリーランスがそれほど大きな組織のリーダーになることは当面考える必要がないからです。

本章のタイトル(「本当はクレイジーなリーダーたち」)にある通り、”リーダーというのは決して聖人君子ではなくてかなりクレージーで思い込みの激しい人が向いている”という点だけを挙げておきます。

それから、おまけとして「リーダーの多くのはコンプレックスを持っている」という指摘にも触れておきます。

ここで瀧本氏は「リーダーはコンプレックスを原動力にして活動している人が多い」という見解を示しています。僕(ゆる子A)自身は、コンプレックスを原動力にしているのはリーダーに限らないと考えており、その点については、すでにフリーランスの観点から「成功とは欠落である 」という記事で考察しています。

自分がどういうコンプレックスに突き動かされているかを自覚しておくことは、リーダーだけでなくフリーランスにとっても、仕事に付加価値を加えていく上で参考になると思います。

⑥投資家

さて第8章は投資家の章ですが、ここで言われている投資とはお金の投資に留まりません。

「投資」とは、お金を投資することだと一般的には思われているが、本質的な「投資」とは、自分の労働力や時間、人間関係を投資することでもあるのだ。(第7章)

労働力や時間を投資するというのはわかりやすく言えば働くことですが、時間と労力を切り売りする労働者になるのではなく、リターンの大きさを考えながら時間と労力を投下していくという投資家的意識を持つことが重要とされています。

投資家としての瀧本氏の発想を根本をまとめると以下の2点です。

①長期的な視点で物事を捉えること。
②リスクをコントロールすること。

①は、現時点の世間の評価だけで判断せず長期的に伸びそうなものに労力を投下する、ということです。今儲かっている業界は誰にでもわかりますからある意味”コモディティ”なのです。

②は、投下対象を分散して、一つの収入源に全面的に依存しないようにする、ということです。

以上をまとめれば、将来伸びそうな分野にできるだけたくさん張りましょう、ということになります。

そのためには(本書で繰り返し言われていることですが)「自分の頭で考える」ことが必要になります。マーケターの発想で自分のスキルに付加価値を加えられるよう工夫するともに、将来伸びそうな分野を選んでスキルを投下していくことが必要になります。

英語とリベラルアーツの重要性

第9章はまとめの章ですがそれ以外に

①英語の重要性
②リベラルアーツの重要性
についても触れられています。

①英語はそれだけでは売り物になりませんが、売り物をすでに持っている人にとってはマーケットを広げるための重要な武器になること

②は教養を学ぶことを通じて、自分の頭で考える力を身につけることができることが書かれています。

英語やITスキルや経理のような小手先の実学よりも、哲学、歴史、芸術、自然科学などを通じて考え方の基礎を身につける方が、結局は近道だと瀧本氏は言います。

以上、『僕は君たちに武器を配りたい』をフリーランス向けにまとめてきました。

まとめ

最後にもう一度本書『僕は君たちに武器を配りたい』の全体をまとめておきます。

現在は、戦後日本の社会的資本主義がグローバル化の流れに飲み込まれ、本物の資本主義の波に洗われている歴史的な転換期である。

そうした時代を生き抜くには、マーケティング的な視点で付加価値を生み出しつつ、投資家的な長期的視点でにリスクを分散し、コモディティ化することのないスペシャリティを目指す必要がある

さて、以上長々とまとめてきましたが、これからのフリーランスには”マーケティング的発想が不可欠だ“という点さえ納得できれば、改めて本書を通読する必要はないと思います。

それよりも、マーケティングの具体的なノウハウを身につけるために時間と労力と資金を集中的に投下していきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

松山市生まれ、埼玉県在住 京大大学院博士課程中退 カンザス大学修士号 元短大教員 元警備員 元ITエンジニア 現在はウェブ翻訳家 以前は短期大学で常勤講師をやっていました。一生その路線で行くつもりだったのですが、思うところあって退職。その後は、コンビニのバイトを面接で落とされたり、警備員をやって深夜の霊園に怯えたり、ITエンジニアをやったりと迷走しつつ、現在はウェブ翻訳家に落ち着いています。